引越しではやるべきことが多くあります。しかし、住所変更をうっかり忘れてしまうと、さまざまな不都合が生じてしまうので気を付けなければなりません。場合によっては罰金が科されてしまうこともあるため注意が必要です。

住所変更しないとどうなるのか、本記事で詳しく解説しますのでぜひご覧ください。

引越し後に住所変更しないとどうなる？

たとえば引越し後に住民票の更新をしないまま放置した場合、以下のような不都合が発生します。

＜引越し後に住所変更しないと生じる不都合＞

• 罰金を科せられる場合がある
• 公的書類が届かない
• 公共サービスや補助金を受けられない
• 新住所の役所で公的証明書を発行できない
• 運転免許証を更新できない
• 選挙権・被選挙権を行使できない

それぞれ順番に詳しく解説していきます。

罰金を科せられる場合がある

引越しから14日が経過するまでに住民票の住所変更を行わなかった場合、50,000円以下の過料（罰金）が科せられる恐れがあります。過料が科せられるかどうかは簡易裁判所の判断によりますが、万が一の事態を避けるためにできるだけ早く住所変更を済ませましょう。

公的書類が届かない

住所変更が完了していないと、公的書類が新居に届きません。原則として公的書類は住民票に記載された住所に配送されるため注意が必要です。

公共サービスや補助金を受けられない

図書館などの公共施設は、原則として当該地域に在住している人だけが利用できます。したがって住所変更が完了するまでは、サービスや施設が使えません。また、補助金の申請も住民票のある場所でしか行えないため、たとえば新型コロナウイルスの発生に伴う申請書類などが届かない可能性があります。

新住所の役所で公的証明書を発行できない

住民票や印鑑証明書、所得証明書などの公的証明書を、新住所を管轄する役所では発行できません。そのため不動産の賃貸契約や購入など、重要な契約がスムーズに進まない恐れがあります。また、確定申告ができなくなることにも注意すべきです。

運転免許証を更新できない

運転免許証の更新手続きができるのは、住民票に記載されている住所を管轄する地域のみです。住民票の住所変更を無視すると、前住所がどれだけ遠かったとしても、免許更新のために前住所の運転免許センターへ出向いて手続きしなければなりません。

選挙権・被選挙権を行使できない

選挙権・被選挙権の行使もできません。いずれも住民票に記載されている住所のみで行使できる権利なので、新住所の地域で行われる選挙では投票も立候補もできないのです。

高校・大学への進学や単身赴任の場合は住所変更しなくてもOK

進学や単身赴任をきっかけに一時的に住所を移す場合、住所変更の手続きは不要です。生活の拠点は住民票記載の住所にあると判断されるため、住所変更しないまま放置していても罰金の請求などはありません。

注意しなければならないのは、公的書類を含む各種書類・案内・請求書等は、すべて旧住所に送られてしまう点です。不便や不都合を感じる場合は、必要なサービスの書類送付先を新しい住所に変更しましょう。

引越しで住民票の住所変更をする手続き方法

引越しで住民票の住所変更をする場合、引越し先によって手続きの内容が異なります。

＜住民票の手続きの種類＞

• 同一市区町村に引越しする場合⋯⋯転居届の提出
• 異なる市区町村に引越しする場合⋯⋯転出届・転入届の提出

それぞれどこでどのように手続きをするのか解説します。

転居届の提出

同一市区町村の引越しする場合、住所を管轄する役場に転居届を提出します。

【転居届の提出方法】

提出場所	住所を管轄する市区町村役場
期限	引越し当日～14日以内
必要なもの	・本人確認書類 ・印鑑

運転免許証やパスポートなど、顔写真付きの本人確認書類が必要です。顔写真付きの身分証がない場合、異なる種類の本人確認書類を2点用意しましょう。

転出届・転入届の提出

異なる市区町村に引越しする場合には、転出届・転入届の提出が必要になります。

【転出届の提出方法】

提出場所	前住所を管轄する市区町村役場
期限	引越し14日前～当日
必要なもの	・本人確認書類 ・印鑑 ・引越し先の住所がわかる書類

【転入届の提出方法】

提出場所	新住所を管轄する市区町村役場
期限	引越し当日～14日以内
必要なもの	・本人確認書類 ・印鑑 ・転出証明書

転出証明書は転出届の提出後に受け取れます。そのため、転出届を提出した後に転入届を提出する順番で手続きを進めましょう。

期間内に手続きができないときの対処法

引越し後、新しい住所への転入届は14日以内に提出する必要がありますが、さまざまな理由で期限内に提出できないこともあります。そんな時は、以下の方法で対応できます。

代理人による提出

転入届は、本人だけでなく家族や同居人に依頼して代理提出も可能です。さらに、代理人を設定して提出することもできます。代理人が転入届を提出する場合、次の書類が必要です。

• 委任状：転入する本人または世帯主が作成。フォーマットは自治体によって異なるため、事前に確認が必要。
• 代理人の身分証明書：運転免許証など、代理人本人を証明できるものが必要。
• 転入者の身分証明書またはそのコピー：転入者本人を証明するために必要。
• 転出証明書：前の住所からの転出を証明する書類。
• マイナンバーカードや住基カード：特例転出の場合に必要。
• 印鑑：提出する書類に押印するために必要。

夜間・休日窓口の利用

役所の営業時間内に来庁できない場合は、夜間や休日に開設されている特別窓口の利用ができます。居住する自治体によってサービスが異なるため、事前に転入先役所のホームページなどで確認するか、直接問い合わせてみましょう。

住民票以外で住所変更が必要なもの

住民票以外でも、以下のものでも住所変更を行わないと不都合が生じる場合があります。

＜住民票以外で住所変更が必要なもの＞

• マイナンバーカード
• 国民年金
• 国民健康保険証
• 運転免許証
• 車庫証明
• 車検証
• ライフライン
• 銀行口座
• インターネットやクレジットカードなどの各種サービス

順番にわかりやすく解説します。

マイナンバーカード

身分証明書としての効力を発揮せず、給付金などのオンライン申請もできなくなります。住所変更を無視すると90日後に失効し、再発行には手数料がかかるため注意しましょう。

国民年金

マイナンバーと基礎年金番号が結びついている場合、マイナンバーの住所変更を行えば国民年金の住所変更も自動的に行われます。しかしそれ以外の場合、住所変更しないと年金の受給額が下がる恐れがありますので、気を付けてください。

国民健康保険証

国民健康保険証は、現住所が記されているもの以外は無効です。保険料を納めていたとしても、住所変更しなければ治療費が全額自己負担になってしまいます。

運転免許証

道路交通法には「免許の住所変更の義務」が明記されています。住所変更を無視した状態で運転した場合、20,000円以下の罰金または刑罰に処されるため注意しましょう。

車庫証明

車庫証明は、住所が変わってから15日以内に変更手続きをするよう道路運送車両法で定められています。怠ると50万円以下の罰金に処される可能性があるため要注意です。

車検証

車庫証明と同様に、車検証も引越しから15日以内の住所変更が義務付けられています。この場合も50万円以下の罰金刑が規定されていますので、早めに手続きを進めましょう。

ライフライン

電気、ガス、水道などのライフラインは、引越しまでに手続きを行わなければ新住所で利用できない場合があります。請求書も届かないため、引越し当日までに開通するよう手続きしましょう。

銀行口座

銀行口座の住所変更を行わなかった場合、50万円を超える高額な現金の引き出しや振り込みができなくなるなど、一部のサービスが制限される場合があります。また、明細等が旧住所へ送付されてしまい、第三者に見られてしまう可能性もあるため注意しましょう。

インターネットやクレジットカードなどの各種サービス

インターネットなどのサービスも住所変更しないと、請求書や案内などの各種郵送物が届かなくなります。また、クレジットカードなどの有効期限があるカード類は、更新後の新しいカードも新住所に届きません。

＜住所変更が必要な各種サービス＞

• インターネット
• クレジットカード
• その他の会員カード
• 任意保険

これらの書類が前住所に送付されると、個人情報が第三者へ流出するリスクがあるため、忘れずに住所変更を行いましょう。

まとめ

住所変更をしないと、書類によっては高額な罰金・過料が科せられる恐れがあります。また身分証明書や保険証が使えなくなったり、個人情報が流出したりするリスクもあるため、できるだけ早く住所変更の手続きを行いましょう。

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