ラク越コラム
引っ越しの時に掃除はどこまでやるのが正解?退去前の掃除のコツやポイントを解説
2024年3月12日
引っ越しで今まで住んでいた部屋から退去する際にどこまで掃除するべきか判断に悩んだことはありませんか?
この記事では、引っ越しの際に退去する部屋を掃除した方がいい理由やどこまで掃除をするのが良いか、各場所の掃除方法などについて解説しています。
これから、引っ越しをする予定があるなら、ぜひ参考にしてみてください。
賃貸物件を退去するときに掃除は必要?
多くの賃貸物件では、入居者が退去した後にクリーニング業者に清掃を依頼しています。
それなら、退去の時に掃除をするのは無意味ではと思うかもしれません。
しかし、部屋を明け渡す際の立会でチェックする部屋はクリーニング業者が清掃に入る前です。
つまり、その時の状態が敷金の精算に影響を及ぼすため、少しでも多く敷金が戻ってくるようにするためには、退去時には掃除しておく方が入居者のために必要なのです。
賃貸物件を退去するとき、部屋の掃除はどこまですればいい?
賃貸物件には「原状回復義務」というものが存在します。
国土交通省のガイドラインには以下のように定義されています。
賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
つまり、「退去の際には、入居した時の状態に戻す義務」のことです。
入居した時の状態といっても、時間が経過しているので、普通に生活していて劣化する「経年劣化」については入居者が費用を負担する必要がありません。
しかし、入居者が不注意や過失、または故意に物件を損傷してしまった場合には修繕費用を負担することになります。
退去の際に「経年劣化」か「入居者の過失」と判断されるかは、管理会社の確認によって決まります。
掃除は義務付けられていない
大家や不動産管理会社との間で特別な取り決めをしていない限りは、基本的に退去時に清掃しなくてはいけない義務はありません。
家具や家電などの私物を運びだし、そのまま部屋を引き渡すだけでも特に問題はありません。
しかし、クリーニング業者が入るとはいえ、特別な事情がない限りは、礼儀的な観点からもできる範囲で清掃しておく方が良いでしょう。
掃除をするメリット
掃除をするメリットは、原状回復にかかった費用を差し引いた敷金が戻ってくる際に少しでも多く受け取れるようにすることです。
済んでいる間に着いた汚れや損傷によって、部屋のクリ―ニングや整備に敷金でまかないきれないほどの費用が発生してしまった場合には、追加で費用を請求される場合があります。
敷金が返ってこなかったとしても、追加請求されるのは手痛い出費になるので、できれば避けたいものです。
そういった事態を避けるためにも、退去前に行う掃除にはクリーニング費用を抑えられる可能性があるのです。
契約内容を見て判断する
賃貸物件の契約内容はそれぞれによって内容が異なります。
どの程度掃除をしておくべきか迷った時は賃貸借契約書に記載されている内容をいま一度確認してみましょう。
もし、退去時の清掃について「掃除不要」と合った場合、キレイに清掃したとしても退去費用が変わる可能性はないかもしれません。
原状回復の義務とは?
裁判所の考え方としては、原状回復とは以下のことを示すようです。
「建物の通常損耗分をもとの状態に回復することではなく、賃借人の故意・過失等による劣化の回復を意味する」
原状回復のガイドラインは、この裁判所の考え方を取り入れられており、このおかげで原状回復の定義が明確になりました。
原状回復とは
元の状態といっても、例えば畳が日に焼けて自然に黄色くなったものまで元に戻すなんてことは不可能です。
つまり、入居者が敷金の返還を期待して行う掃除は、入居した時の状態を目指すのではなく、「入居者が普通に生活していて劣化したり、汚れたりする程度までの原状回復」ができていれば大丈夫だ、ということです。
経年劣化とは
経年劣化というのは、時が経つうちに自然と劣化することを指します。
具体的な例を挙げると次のようなものは経年劣化とみなされ、借主が負担しなくてよいとされています。
- フローリングのワックス
- 日照・建物構造欠陥による雨漏りなどにより発生したフローリングの色落ち
- 家具の設置による床やカーペットのへこみ
- 壁に貼ったポスターやカレンダー、絵画の跡
- 壁の画鋲やピンなどの穴(下地ボードの張り替えが不要な軽度のもの)
原状回復・経年劣化の負担区分について
原状回復の対象か経年劣化とみなされるかは自己判断がなかなか難しいと感じるかもしれません。
建物の損耗区分がどちらの費用負担になるかの分かれ道になります。
ここでは、ガイドラインから抜粋して具体的な負担区分の例をご紹介します。
原状回復の対象になる賃借人負担
賃借人負担となるもの
手入れを怠ったもの | ●用法違反 ●不注意によるもの 通常の使用とはいえないもの ●飲みこぼし等の手入れ不足によるカーペットのシミ ●冷蔵庫下のサビを放置した床の汚損 ●引越作業等で生じた引っかきキズ ●賃借人の不注意によるフローリングの色落ち ●日常の清掃を怠ったため付着した台所のスス ●油、結露を放置して拡大したカビ・シミ ●クーラーからの水漏れを賃借人が放置して発生した壁等の腐食 ●喫煙によるヤニ等でクロスが変色したり臭いが付着している場合 ●重量物をかけるためにあけた壁等の釘穴・ビスで下地ボードの張替えが必要なもの ●天井に直接付けた照明器具の跡 ●落書き等故意による毀損 ●ペットによって柱等にキズが生じた、または臭いが付着している場合 ●風呂・トイレ等の水垢、カビ等 ●日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備の毀損 ●鍵の紛失または破損による取替え ●戸建て住宅の庭に生い茂った雑草の除去 |
経年劣化と判断される賃貸人負担
賃貸人負担となるもの
通常の住まい方で発生するもの | ●家具の設置による床・カーペットのへこみ、設置跡 ●テレビ・冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(電気ヤケ) ●壁に貼ったポスター等によるクロスの変色 ●日照など自然現象によるクロス・畳の変色、フローリングの色落ち ●賃借人所有のエアコン設置による壁のビス穴・跡 ●下地ボードの張替えが不要である程度の画鋲・ピンの穴 ●設備・機器の故障・使用不能(機器の寿命によるもの) |
建物の構造により発生するもの | ●構造的な欠陥により発生した畳の変色 ●フローリングの色落ち ●網入りガラスの亀裂 |
次の入居者確保のために行うもの | ●特に破損等していないが次の入居者確保のため行う畳の裏返し ●網戸の交換 ●浴槽・風呂釜等の取替え ●破損・紛失していない場合の鍵の取替え ●フローリングのワックスがけ 台所・トイレの消毒 ●専門業者による全体のハウスクリーニング ●エアコン内部の洗浄 |
退去の立会でチェックされるポイント
普通に住んでいて自然の劣化だと判断されるには、日常から汚れを放置せずに定期的に清掃していることが大切です。
一般的な洗剤で落とせないほど長年蓄積した汚れが付いているとなると、それ相応のクリーニング費用がかかってしまいます。
また、浄水器や浴室のシャワーヘッド、照明器具などの自分で取り付けたものは、そのままにせずに外していくのがルールとなっています。
汚れが目立ちやすい重点ポイント
立会の際に汚れが残っていると目立ちやすいポイントを場所ごとにピックアップしたので、退去前の清掃の参考にしてみてください。
【キッチン】
□換気扇の油汚れを掃除する
□ガスコンロやその周辺の油汚れを掃除する
□コンロの魚焼きグリルを掃除する
□床や壁の油汚れを掃除する
□自分で水道に浄水器を取り付けた場合は外す(置いていかない)
【浴室】
□浴室内のカビ取り掃除をする
□浴室の鏡のウロコ汚れを掃除する
【脱衣所】
□洗濯機の床排水の部品(エルボ)は残しておく(写真を参照)
□脱衣所の床を掃除する
【トイレ】
□トイレの床を掃除する
□自分で温水洗浄便座を取り付けた場合は外す(置いていかない)
【居室】
□リビングの壁の汚れがひどい所は掃除する
□換気口周辺の黒ズミ汚れを掃除する
□自分で照明を取り付けた場合は外す(置いていかない)
【その他】
□自分で物干し竿を買った場合は置いていかない
□鍵はオリジナルを返却する
敷金からの返金額は立会後に確定する
敷金は退去後にかかるクリーニングや補修費用に充てられるために大家に預けているお金ですので、費用が敷金の範囲内に収まり差額が発生した時は返金されます。
退去の立会後に管理会社の担当者がクリーニング費用と補修費を計算し、入居者に返金できる差額を確定します。
場所別の掃除方法
日頃生活している時には見慣れているため室内の汚れを見落としてしまいがちです。
しかし、退去の時には第三者の目でチェックされるので、いつもより、注意深く普段目にしない場所もしっかりと確認して掃除をしましょう。
以下に注意すべき点と清掃方法をまとめたので、退去前の掃除の際に参考にしてみてください。
キッチン
キッチンはさまざまな汚れが付きやすく、カビも発生しやすい場所です。
特に、コンロや換気扇、シンク周りを中心に、油汚れやカビが残らないように徹底的にキレイにしましょう。
コンロ周り
コンロの周囲は調理の際に飛び散るなど油汚れが残りやすいものです。
油汚れは酸性なので、アルカリ性洗剤や重曹を使うとキレイに汚れを落とすことができます。
洗剤を吹きかけて拭く方法でも良いですが、頑固な汚れの場合は洗剤をキッチンペーパーに含ませてかぶせ、30分ほど置いてから拭き取ると汚れがとてもよく落ちます。
また、コンロだけでなく、周りの壁やガスホースなどにも案外油汚れが飛んでしまっています。
細かい場所に汚れが入り込んでいる場合は綿棒や爪楊枝を使って掃除しましょう。
レンジフード・換気扇周り
レンジフードや換気扇も油汚れが付着している場所です。
可能であれば、できる限り分解して、パーツごとにつけ置き洗いをするとキレイになります。
外せない部分にはアルカリ性の洗剤を吹きかけたり、なかなか落ちない油汚れはキッチンペーパーでパックしたりすると効果的に汚れを落とすことができます。
また、フィルターは歯ブラシで軽くこすると簡単に汚れが落とせます。
油汚れは残りやすく目立つため、整流板やカバーも丁寧に掃除しておきましょう。
シンクや蛇口
シンクや蛇口周りには、水の跡のような白いモヤモヤした水アカが付きやすいです。
汚れが軽い場合はお酢で拭いても効果的ですが、クエン酸や水アカ用の洗剤を用いて、よくこすって洗うとキレイに落とせます。
マイクロファイバークロスを使ってこすると汚れがよく落ちるのでオススメです。
シンクはぬめりや黒ずみ、カビなどが発生しやすく、劣化もしやすいため、排水口の掃除は特にしっかりと行いましょう。
シンク下
シンクの下に付いている収納には、調理器具や調味料を入れている方も多いでしょう。
回収し忘れていないかを確認するとともに、中性洗剤で拭き掃除をしておきましょう。
カビや調味料のシミなどが残らないように、洗剤を使ってしっかり落としておきます。
棚や吊戸棚
備え付けの棚や吊戸棚がない場合はそこの掃除も忘れずに行いましょう。
コンロの近くになくてもいつの間にか油汚れや調味料による汚れが付いていることがあります。
扉の持ち手の部分や棚の内部も拭き掃除をしておきましょう。
また、吊戸棚の奥のほうに回収忘れした物が残っているケースが多くあるので注意してください。
トイレ
トイレは汚れが溜まりやすく、水アカやカビも発生しやすいです。
普段の掃除では見落としがちな部分もキレイにしましょう。
便座と便器
便座や便座カバーなど外せる場合は、すべて外して掃除します。
トイレ用の洗剤を使えばほとんどの汚れは落とせますが、細かい部分までキレイにしたい場合は歯ブラシや綿棒を使いましょう。
なかなか落ちない黒ずみや尿汚れは、洗剤を含ませたトイレットペーパーで覆い、30分ほど放置すると落ちやすくなります。
掃除をさぼりがちで尿石や落ちない黄ばみが発生しているときは、尿石用洗剤かクエン酸が効果的です。
ウォシュレットが付いている場合は、掃除モードを使った掃除や除菌も忘れずにしておきましょう。
タンクや手洗い場
トイレタンクの上部にある手洗いや、トイレ内の手洗い場は水アカが付きやすいです。
メラミンスポンジやクエン酸を使うとすぐにキレイになります。
トイレの手洗い場は、キッチンの水まわりよりもコンパクトであることがほとんどです。
そのぶん細かい部分に汚れが入り込みやすく、カビが発生してしまうこともあります。
裏側や蛇口の付け根などもチェックしつつ掃除しましょう。
また、タンクの裏側は、ホコリが溜まりやすいです。
割りばしやお掃除グッズを使って、できるだけ隙間も拭いておくとよいです。
床と壁
トイレの床と壁は、尿跳ねをはじめとした汚れが付着しやすいです。
ホコリや手アカが付くこともあるため、トイレ用の掃除シートやトイレ用洗剤を使って拭き掃除をしましょう。
浴室
浴室には、水アカや石鹸カス、カビなどさまざまな汚れが残りやすいです。
場所ごとに適切な掃除方法でキレイにしましょう。
浴槽
浴槽の中はお風呂用の洗剤でしっかりこすって洗います。
縁の部分やカバー部分に水アカやカビが生えることが多いため、見る角度を変えてチェックしてみましょう。
壁や床との境目や、排水口の周りはカビがとくに残りやすいです。
カビが落ちない場合は、カビ取り専用の洗剤や漂白剤を使い、トイレットペーパーでパックすると落としやすいです。
排水口
排水口では、外せるパーツは全部外し、髪の毛やぬめり、カビなどが残らないように掃除します。
細かい溝や隙間が多いため、歯ブラシを使って掻き出すように掃除するとよいです。
自分で排水口の蓋や網を他のものに交換している場合は、必ず入居時のものに戻しておきましょう。
換気扇
浴室の掃除で忘れがちなのが換気扇です。
フィルターやファン、カバーなど、外せるパーツはすべて外して拭き掃除をします。
外せない場合はその場で拭き掃除をするだけでも大丈夫です。
カビが生えやすい部分であるため、なるべく細かく掃除してください。
床と壁
浴室の床や壁は、ぬめりが発生しやすく、水アカと石鹸カスも残りやすいです。
浴室用の洗剤を吹きかけて、スポンジやタオルを使って拭き掃除をしておきましょう。
床と壁の下のほうは石鹸やシャンプーなどの汚れが付着していることが多いです。
固まってしまったものは、ぬるま湯でふやかしてから拭くと落とせます。
洗面台
洗面台の掃除方法は、基本的にキッチンのシンクと同じです。
水アカやカビを落として、収納が付いている場合は忘れ物がないか確認し、中も拭き掃除をしておきましょう。
鏡に付いてしまった水アカはクエン酸か市販のウロコ取りで落とせます。
浴室の排水口と同様に、自分で蓋や網を交換していた場合は元に戻しておきましょう。
リビング・ダイニング
リビングやダイニングなどの部屋の床や壁も汚れていることが多いため、しっかり掃除しましょう。
また、床材に応じて掃除方法を変えてください。
フローリング | 掃除機をかけた後、拭き掃除をします。 フローリング用の洗剤や、中性洗剤を使うとキレイになります。 また、フローリングは溝に汚れやカビが溜まりやすいです。 溝には楊枝を使ってキレイにしましょう。 |
クッションフロア | フラットな構造なので、掃除機と拭き掃除で問題ありません。 ただし、カビが生えることもあるため、隅のほうまで掃除しましょう。 |
畳 | 畳は掃除機かほうきで掃除しましょう。 カビが生えている場合は揮発性の高いエタノールで掃除します。 |
原状回復に関するよくある質問
賃貸物件の退去時に原状回復についてよくある質問をまとめてみました。
画鋲などの穴は大丈夫? どこまで大丈夫?
『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』によると、カレンダーやポスターなどを貼って空いた画鋲の穴は、原則貸主負担となっています。
しかし、ガイドラインには法的拘束力がありません。
例えば、壁の至る所に穴が空いているなど、穴の数が常識の範囲を越えていると貸主側が判断した場合は、補修費を請求される場合もあるので注意してください。
壁のクロスがめくれていたらどのくらい負担するの?
壁のクロスを故意に傷つけ、めくれてしまった場合は、借主側の過失となるため借主側が負担します。
経年劣化によるめくれの場合は入居年数によって負担額が変わってきます。
ガイドラインによると、2年で約7割、逆に6年~8年で価値が1円以下となり借主の負担はなくなります。
ただし、これはガイドラインに沿った場合の負担額です。
ご自身の負担額がいくらになるかは契約内容によって異なるので、気になる場合はもう一度、契約書を確認することをお勧めします。
ペット可物件だけどペットが壁や柱に傷をつけてしまった!
ペット可物件の場合、一般原則とは別に例外として特約が設けられていることが一般的です。
そのため、基本的には借主側の負担となりますが、内容によっては無効とされることもあります。
気になることがあるときは、契約前に不動産会社や管理会社の方に納得できるまで聞いてみましょう。
退去までに計画的に掃除を進めよう
引っ越しは各種手続きや荷造りなどやることがとても多いです。
長く住んでいた場合など、いつのまにか物が増えて荷物づくりで手一杯ということもあるでしょう。
退去前の掃除はピカピカに磨き上げる必要はありませんが、掃除はしておいた方がベターです。
引っ越し作業の一部として計画的に掃除を進めましょう。
ラク越でスマートな引っ越し!
「ラク越」ではオンライン見積もりでスマートな引っ越しができます。
間取りや引っ越し人数など、基本的な情報を入力するだけで引っ越しの見積もりが可能です。
「安心」「簡単」「便利」な引っ越しで女性利用者からの評価が高く、コロナ禍の引っ越しにも便利なサービスとなっています。
LINEのアカウントがあれば見積もりから契約・支払までスマートに手続きが完了するため、引っ越し前のバタバタした時期にも安心して利用できます。
特許を取得している「見積り訪問不要システム」では電話やWEBでお部屋の家財をすべて㎥数(量)で正確に測定。
約140万件の実績を誇る最新鋭の見積りシステムによってスマートな引っ越しを支援します。