現代社会において、「葬式をしない」「お墓を持たない」という選択をする人が増えています。

理由として、葬式やお墓には高額な費用が必要になるためです。

また、少子化や核家族化により墓の管理が難しくなってきており、維持することが難しいケースも増えています。

本記事では、「葬式をしない」や「お墓を持たない」場合のメリットと注意点について詳しく解説しています。

新しい供養の形について考えている方は、ぜひご覧ください。

「葬式しない」「お墓はいらない」と考える人が増えている

「葬式をしない」「お墓を持たない」背景には、葬式費用や墓地の維持費が高額であることや少子化や核家族化により、墓の管理ができない家庭が増加しているためです。

また、葬式や墓地に対する宗教的な価値観が薄れ、自分らしいシンプルな供養を求める人が増えてきています。

まずは葬式とお墓の意味について見ていきましょう。

＜葬式やお墓の目的＞

• 葬式をする意味とは？
• お墓を持つ理由とは？

葬式をする意味とは？

葬式は故人を送り出し、遺族や友人が集まって故人を偲ぶための儀式です。

宗教的な側面もあり、故人の魂を鎮め、安らかに眠るように祈る意味も含まれています。

また、葬式は遺族にとって故人の死を受け入れ、心の整理をする重要な機会と言えるでしょう。

さらに、親族や友人との交流を深め、共に故人を偲ぶことで、悲しみを共有し支え合う場ともなります。

お墓を持つ理由とは？

お墓は故人や先祖を供養し、家族の歴史やつながりを感じる場所です。

遺族が定期的に訪れ、故人を偲ぶことで、家族の絆が深まる役割も果たしています。

また、宗教的な意味合いから、お墓を持つことに重きをおく家庭も多い傾向です。

家族の歴史を物理的に継承する象徴的な存在であり、故人の魂が休む場所として考えられています。

「葬式しない」「お墓はいらない」場合にやるべき3つのこと

葬式をおこなわずお墓を持たない場合でも、する場合と同様に役所での手続きなどが必要です。

ここでは、必要な手続きについて見ていきましょう。

＜葬式をおこなわずお墓を持たない場合にやるべきこと＞

• 役所手続き
• 埋葬方法の選択
• 親族や友人への連絡

役所手続き

葬式をしない場合でも、死亡届の提出や火葬許可証の取得、死亡診断書の提出など、役所での手続きは欠かせません。

スムーズに進めるためには、事前に必要な書類や手続きを確認しておくことが大切です。

役所手続きは、故人の住民票がある自治体で行います。

供養方法の選択

お墓を持たない場合、火葬後の遺骨をどのように取り扱うのかを選択しなければなりません。

代表的な方法には、散骨・樹木葬など、さまざまな方法があります。

葬式をしない場合には、選択肢が限られる場合もあるため、どのような方法や条件があるのか、事前に確認しておくと良いでしょう。

親族や友人への連絡

葬式を行わない場合、親族や友人への連絡は重要です。

親族や友人の中には、葬式を行わないことに対して驚きや反対意見を持つ人もいるかもしれません。

故人の死を知らせるとともに、葬式を行わない理由や今後の供養の方法について説明します。

丁寧に説明し、理解を得るよう努めましょう。

葬式をしない場合のメリット

葬式をしない選択には、3つのメリットがあります。

メリットをひとつずつ見ていきましょう。

＜葬式をしないメリット＞

• 経済的負担の軽減
• 葬式の手配にかかるストレスの軽減
• 親族などの集まりによる心理的負担の軽減

経済的負担の軽減

葬式をしないことで、経済的な負担が大幅に軽減されます。

従来の葬式には、式場の使用料や祭壇の費用など、さまざまな費用がかかります。

費用は葬式の規模によって異なりますが、第6回お葬式に関する全国調査（2024年/鎌倉新書）によると、平均相場は118.5万円です。

葬式をしない場合、費用を節約でき、遺族の経済的負担を軽減できます。

葬式の手配にかかるストレスの軽減

葬式の手配は、故人の死による精神的な負担が重なる時期に行わなければならず、遺族にとって大きな負担となります。

また、式場選定・日程調整・祭壇や花の手配・参列者への連絡など、多くの準備が必要です。

葬式をしないことで、これらの手配にかかる時間と労力を大幅に軽減できます。

その分、遺族は故人との別れを静かに受け止める時間を持つことができるでしょう。

親族などの集まりによる心理的負担の軽減

葬式には、多くの親族や友人が集まるため、心理的な負担となることもあります。

特に、大勢の人前で故人について話したり、感情を表現することが苦手な人にとっては、大きなストレスとなるでしょう。

葬式をしない場合、人が集まる心理的負担を軽減できます。

遺族は、静かな環境で故人を偲び、心穏やかに過ごすことができるでしょう。

葬式をしないとどうなる？

葬式をしない選択には、メリットがある一方でデメリットも存在します。

ここからは葬式をしない場合のデメリットを見ていきましょう。

＜葬式をしないデメリット＞

• 親族や知人からの理解が得られない場合がある
• 散骨場所の選定が大変な場合がある
• 弔問客の対応が必要になる

親族や知人からの理解が得られない場合がある

葬式をしないことに対して、すべての親族や知人から理解を得られるとは限りません。

特に、伝統や習慣を大切に考える年配の方々にとっては、葬式をしないことに対して反対意見が出ることがあります。

親族間で意見の衝突や不調が生じる可能性があるため、葬式をしない理由について、丁寧に説明し、親族や知人の理解を得る努力が必要です。

また、供養方法についても説明し、共通の理解を深めておくと良いでしょう。

供養方法の選定が大変な場合がある

葬式をしないで火葬のみ行った場合、納骨を断られる可能性があります。

一部の寺院や霊園では、葬式をせず読経しないことが認められていないためです。

納骨を断られた場合は、納骨堂に納骨するか散骨を選択することになります。

散骨は自然に還るという理念に基づいていますが、散骨場所は法律や地域の規制を遵守する必要があるため、周囲の環境や住民に対する配慮を忘れずに行いましょう。

特に、公共の場や私有地での散骨には許可が必要で、事前に確認と手続きが求められます。また、環境への配慮も重要です。

弔問客の対応が必要になる

葬式をしなくても、故人に対して弔問に訪れる人がいます。

その際、葬式を行わない理由について説明を求められるかもしれません。

弔問客の中には、葬式を行わないことに驚く人もいるため、それぞれに適切な対応が求められます。

そのため、事前に親族や親しい友人に連絡を入れ、葬式をしない理由について伝えておくと良いでしょう。

お墓がない時の供養方法

お墓を持たない場合、故人を供養する方法はさまざまです。

例えば、散骨・永代供養・納骨堂・手元供養などがあります。

それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、故人や遺族の希望に合わせて選ぶことが重要です。

＜代表的な供養方法＞

• 散骨
• 永久供養
• 納骨堂
• 手元供養

散骨

散骨は、遺骨を粉末状にして自然に還す方法です。

海・山・川などへの散骨があり、特に海洋散骨が人気で、故人を海へ還すという象徴的な意味合いが支持されています。

散骨を行う際には、法律や地域のルールを遵守し、周囲の環境や住民に対する配慮を忘れないことが大切です。

永代供養

永代供養は、寺院や霊園が永続的に遺骨を供養する方法です。

遺骨を個別に納めるタイプと合同で納めるタイプがあり、遺族が管理する手間が省けるメリットがあります。

費用も比較的安価に抑えられることが多く、少子化や核家族化が進む現代社会に適した供養方法と言えるでしょう。

納骨堂

納骨堂は、遺骨を納めるための建物で、寺院や霊園内に設置されています。

遺族が参拝しやすい環境が整っているため、家族で故人を偲ぶ場として人気です。

交通の便が良い場所や設備が充実している納骨堂ほど費用が高くなる傾向があるため、利便性や費用から適切な場所を考えると良いでしょう。

手元供養

手元供養は、遺骨の一部をペンダントや小さな骨壷に納め、自宅で供養する方法です。

故人を常に身近に感じられるため、心理的な支えとなります。

場所を取らず管理の手間も少ないため、維持する費用が少なく、身近に故人を感じる安心感から注目されている方法です。

供養方法については以下の記事でも紹介しているため、ぜひご覧ください。

内部リンク：葬式しないで火葬のみで弔う火葬式とは？特徴と費用について解説

「お墓はいらない」場合の対応方法

お墓を持たない選択をする場合でも、既に所有している人もいるでしょう。

お墓がいらない場合は墓じまいを行っておくと、管理の手間や費用を軽減できます。

＜墓じまいの具体的な方法＞

• 墓じまいする
• 墓じまいの手順
• 墓じまいにかかる費用

墓じまいする

墓じまいは、今あるお墓を撤去し、遺骨を他の供養方法に移すことです。

墓じまいを行う理由には、跡継ぎがいない・遠方で管理が難しい・経済的負担を軽減したいなどがあります。

墓じまいを行ってしまうと、墓参りができなくなり先祖との繋がりを感じにくくなるため、決断する際は家族や親族と十分に話し合い、全員の理解を得ることが大切です。

墓じまいの手順

まずは、寺院や霊園に相談し、墓じまいの意向を伝えましょう。

次に、遺骨を取り出し、新たな供養方法を選びます。

遺骨を移す場所が決まったら、寺院や霊園と共に撤去作業の計画を立ててから、お墓の撤去作業を行い土地を返却します。

墓じまいの手続きには、書類の提出や手数料の支払いが必要となることがあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。

墓じまいにかかる費用

墓じまいの費用は、墓じまいの費用は一般的に0〜30万円程度です。

書類の発行手数料は0円～1,500円ほどかかります。

次に、魂抜き（閉目供養）のお布施代として3～10万円、離檀料は5～20万円ほど必要です。

また、墓石の解体撤去費用は1平方メートルあたり10万円が目安です。

さらに、散骨などの費用は3～100万円と幅があります。新たな場所での魂入れ（開眼供養）のお布施代として3～10万円が必要となるでしょう。

このように、墓じまいには相当の金額が必要となる場合があります。

特に、遺骨の次の行き先によっては、総額で100万円程度かかることもあるため、事前にしっかりと計画を立てることが重要です。

まとめ

「葬式をしない」「お墓を持たない」という選択は、現代の多様な価値観やライフスタイルに合わせた新たな供養方法です。

経済的な負担の軽減や管理の手間を省くメリットがあります。

しかし、親族や知人からの理解を得ることや、適切な供養方法を選ぶことも重要です。

家族全員が納得できる形で、故人を心から偲び、適切な供養を行うための方法を見つけていきましょう。

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