引越し退去時には、できる範囲内で掃除を済ませておくことがおすすめです。掃除を行うと気持ち良く大家さんに物件を引き渡せるだけでなく、敷金が返還されてお得になるケースもあります。本記事では、退去時に掃除をする範囲から効率良く掃除する方法、そして処分したいものが出たときの対処法まで詳しく解説します。

引越しで退去するときは掃除も済ませよう！

引越しで退去する際は、以下の理由から掃除を済ませておくことをおすすめします。

＜退去時に掃除をすべき理由＞

• 汚したまま大家さんに返すのはマナーが悪いため
• 掃除をすることで原状回復のコストが下がり、敷金を返還してもらいやすくなるため

マナー良く、お得に退去するために、退去前には必ず掃除をしましょう。

退去時はどこまで掃除をしておくべきか？

退去時に行う掃除の範囲で注目すべきポイントは、以下の3点です。

＜退去時に行う掃除の範囲で注目すべきポイント＞

• 原状回復の対象になる場所
• 経年劣化してそのままにしても良い場所
• 「貸主負担」と「借主負担」

それぞれ詳しく解説します。

原状回復の対象になる場所

原状回復とは、入居前の状態に戻すという意味です。原状回復が必要となる主な範囲は、以下のとおりです。

【原状回復が必要となることが多い範囲】

壁	・手入れ不足による汚れ ・落書きや傷、穴など過失によって生じた傷 ・タバコのヤニ汚れやペットのにおい
床	・ものを落としたり、飲み物をこぼしたりしたことによる汚れ
水回り	・掃除不足によるカビや水垢、油汚れなど

汚れや傷は、原則として借主負担で修繕する必要があります。

経年劣化してそのままにしても良い場所

自然な範囲で生じる汚れや傷は、「経年劣化」とみなされます。具体的な例を見てみましょう。

【経年劣化が認められる例】

壁	・日焼け ・画びょう、ピン、カレンダー、ポスターのあと ・過失のないクロスのはがれ
床	・冷蔵庫やベッドなどの設置痕
水回り	・冷蔵庫裏の電気焼け

以上の傷や汚れには借主の過失がないと判断されるため、簡単に清掃するだけで構いません。

「貸主負担」と「借主負担」

原状回復は、「貸主負担」と「借主負担」に分かれます。それぞれの範囲を見てみましょう。

【主な貸主負担と借主負担の比較表】

貸主負担	・日焼けや欠陥による雨漏りなどで発生したフローリングの汚れ、色落ち ・家具設置による床のへこみなど ・壁にかけていたポスターやカレンダーのあと ・壁などについた画びょう、ピンなどのあと ・フローリングのワックスがけ
借主負担	・借主の過失によるフローリングの色落ち、汚れ、傷 ・飲み物をこぼしたことによるシミやカビ ・冷蔵庫下のサビ・壁などに生じているクギやネジのあと ・タバコのヤニ汚れ、ペットによる傷や汚れ ・タバコやペットのにおい ・水回りの油汚れ、水垢、カビなど

貸主負担の範囲については、必要以上に掃除をする必要はありません。貸主負担となる範囲を重点的に清掃することで、効率良く清掃にかかるコストを浮かせられます。

【場所別】退去時に効率良く掃除する方法

退去時に効率良く掃除する方法を、場所別に解説します。

＜【場所別】退去時に効率良く掃除する方法＞

• 床・畳
• 窓
• 壁・天井
• キッチン
• 洗面所
• トイレ
• 浴室
• ベランダ

順番に要点をチェックしましょう。

床・畳

フローリングの場合は溝付近に汚れが溜まるため、黒ずんでいる場所などは爪楊枝を使って汚れをかき出しましょう。その後は水拭き、乾拭きをして終了です。畳の場合は掃除機で全体を掃除した後に水拭き・乾拭きし、カビがある場所はアルコールをつけた歯ブラシで軽く磨いて汚れを落としましょう。

窓

ガラス部分はガラス用洗剤と雑巾を使って掃除します。汚れが溜まりやすいレールやサッシには、洗剤を吹きかけてから歯ブラシを使って擦ると汚れを落としやすくなります。

壁・天井

壁・天井に汚れがある場合は、壁に使えるタイプの洗剤を使って洗い、カビが多い場所には塩素系漂白剤をつけた歯ブラシで軽く擦りましょう。特に家具・家電を置いていた場所や、その裏の掃除を重点的に行うことが大切です。

キッチン

油汚れを落とすためには、アルカリ系の洗剤を使う点が重要です。汚れている箇所に洗剤を吹きかけて、汚れを絡め取るマイクロファイバークロスを使って擦りましょう。シンクの水垢には酸性の洗剤が効果的なので、場所や汚れの種類に合わせて洗剤を使い分けることをおすすめします。

洗面所

水垢には賛成の洗剤と浴室用スポンジを使った掃除が効果的です。金属製の蛇口にはクレンザーをかければ、ガンコな汚れを落としやすくなります。

トイレ

便器の表面だけでなく、室内の壁や床、便座の裏なども掃除しましょう。そのままトイレに流して処分できるトイレ用掃除シートを使うと便利です。また便器内のガンコな黒ズミには、酸性のトイレ用洗剤をかけると汚れを落としやすくなります。

浴室

浴室のカビには、浴室用洗剤を使った掃除が効果的です。ガンコなカビ汚れには、カビ取り剤を吹きかけてしばらく放置し、スポンジで擦ると汚れが落ちやすいです。また、排水溝の中にカビや髪の毛、せっけんのカスなどが残っていないかも確認しましょう。

ベランダ

ほうき等を使って汚れを取り除き、手すりは洗剤を使って雑巾で磨きましょう。床にシャワーの水などをかけて汚れを洗い流す方法は、隣に迷惑をかける恐れがあるため、事前に大家さんに相談しましょう。

退去時にしっかりと掃除すれば敷金が返還される？

敷金が返金されるかどうかは、主に「借主負担」の修繕費がいくらかかるかによって異なります。掃除をした結果、クリーニングが不要になって敷金が多く戻る場合もあれば、大規模な修繕が必要なせいで敷金の返還どころか追加料金が請求される場合もあるのです。

敷金が返還されるかどうかはケースバイケースで、一概に言えません。万が一高額な請求を受けた場合は、管理会社や大家さんと交渉して、清掃費の見積もりを見せてもらいましょう。状況によっては、消費生活センターに相談する、民事調停を行うといった対策を検討してください。

退去時の清掃で出た不用品はどうする？

退去時の清掃で不用品が出た場合、処分する方法は主に6つあります。

＜不用品の処分方法＞

1. 引越し会社に引き取ってもらう
2. 不用品回収業者に引き取ってもらう
3. 粗大ごみとして自治体に回収してもらう
4. リサイクルショップで買い取ってもらう
5. フリマ・オークションサイトで売却する
6. 親戚や友人に譲る

特徴をチェックしていきましょう。

①引越し会社に引き取ってもらう

引越し会社を利用する場合、引越し作業と並行して不用品引取りサービスを利用できることがあります。当日急に発生した不用品もその場で回収してもらえるので手間が省けます。ただし全ての引越し業者が不用品回収を行っているわけではないので事前に確認をしましょう。

②不用品回収業者に引き取ってもらう

不用品回収業者は電話1本で自宅まで回収に訪れてくれますので、非常に便利です。また解体が必要なほど大きな家具・家電の引き取りにも対応しています。

③粗大ごみとして自治体に回収してもらう

粗大ごみとして料金を支払い、自治体に回収してもらう方法もあります。公的機関である自治体が回収してくれるため信頼性が高い方法ですが、自分で集積所までごみを運ぶ手間がかかります。

④リサイクルショップで買い取ってもらう

リサイクルショップを利用すると、不用品を現金にできる可能性があります。しかし、コンディション次第では買取・引き取りに応じてもらえず、そのまま持ち帰らなければならないこともある点に注意しましょう。

⑤フリマ・オークションサイトで売却する

フリマ・オークションサイトで売却して現金化する方法もあります。ただし、出品作業から梱包・発送作業まで自分で行わなければならないため、手間がかかります。

⑥親戚や友人に譲る

親戚や友人の中に不用品を必要としている人がいる場合は、譲っても良いでしょう。しかし、コンディションによっては失礼にあたる場合がありますので気をつけましょう。

まとめ

引越しで退去するときは、マナー良く退去して、かつ退去時のコストを浮かせるために掃除をしましょう。基本的には「借主負担」となる範囲を重点的に掃除すれば大丈夫です。不用品が出た場合の処分方法はいくつかありますが、この場合は利便性の高い不用品回収業者の利用がおすすめです。

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